韓国へ

 去る2003年11月26日、韓国・ソウルのCOEX国際展示場パシフィック・ホールにて、ゲーム展示会「KAMEX2003」が開催された。当サイト管理人ジャガイモは、ここにおいてガングリフォンの続編が展示されるとの情報を事前につかみ、「ガングリフォンの続編を見る」ことのみが目的というかなり狂気じみた韓国旅行を敢行した。ソウルで目の当たりにした衝撃のゲーム内容をレポートする。

ブースの様子  早速であるが、これがブースの写真である。開発しているKama Digital Entertainmentは自前のブースを持っておらず、展示はネットワーク関連で協力したと見られるNeowiz Pmangのブースにて行われていた。

 さて、ご覧の通りタイトルは『Gungriffon Divide』ではない。まるで予想していなかった文字が躍っている。Accionとは「アックシオン」と発音し、スペイン語で英語の「Action」に当たる言葉で、会場のスタッフは「Pressingのような意味」と説明していたが、要するに新作はガングリフォンではないようである。

 では内容を見てみよう。

(写真集はこちら

ゲームの流れ

戦闘開始前  試遊できたのは(当然のことながら)マルチプレイモードである。戦闘開始前には右のような画面が表示される。

 表示項目について一応説明を加えておくと、大部分を占めているのはセッションに参加する各プレイヤのステータスである。プレイヤの人数と出撃機種が一目で判るようになっている。上部にあるのは戦場となるステージの種類で、これはホストが選択する。右には自分の搭乗する機種とそれに搭載する兵装が表示されており、この画面で決定を行う。右上の「READY」を押下すると、左のプレイヤステータスに「GO!」と現示され、全員の準備が整うと戦闘が始まる。

 ちなみにこの画面はマウス操作であった。キーボードによる操作の可否は不明。

戦闘画面  戦闘のルールは所謂バトルロイヤルで、つまり他プレイヤ全員が敵である。チーム戦やCOOPの有無は確認できなかった。

 戦闘時の画面について解説する。

  • 中央上:このスクリーンショットを撮影した際、ビハインド視点が選択されていたので、背を向けているのはプレイヤの機体である。その自機よりやや上に、照準が黄色い十字、敵の位置を示すターゲットマーカーが赤い枠で表示されている。ガングリフォン・ガングリフォン2と違って、照準に距離計はついておらず、また対象との距離によっターゲットマーカーが拡縮する演出もない。
  • 中央下:「001/025」は、フル状態で25発搭載可能な砲弾が、現在1発しか残っていないことを示している。
  • 上:自機の放った砲弾について「HIT」「MISSED」「DESTROYED」のいずれかが表示される。
  • 左上:戦闘開始から経過した時間。
  • 左中央:このスクリーンショットでは「Accion04がAccion02を撃破した」といった内容の文が表示されている。ユーザ間チャットの文字もここに出る。
  • 左下:自機の損傷具合。
  • 下:必要に応じて緑色のゲージが現れ、ローラーダッシュ及びジャンプの使用可能時間を示す。
  • 右:レーダー画面。自機は中央の白い矢印、敵機は赤い矢印で表される。レーダーから地形は全く読み取れない。
  • 右下:現在選択されている兵装。

結果報告画面  戦闘が終了するとごく簡素な結果報告画面が出てくる。

 結果表は、左から順位・プレイヤネーム・撃破数・被撃破数・Ping値となっており、表の左側に大きく表示されている「1」という数字は、プレイヤの順位である。下のボタンを押下すると戦闘から抜ける。右上の「5」は、「結果表示終了まであと5秒」の「5」である。

 尚、全く迂闊なことに、シングルプレイモードの有無に関してスタッフに訊ねるのを忘れてしまったので、シングルプレイができるかどうかは定かではない。


機体

 試遊で使えたのは2機種のみ。

 1つは『Talos』といい、見た目は16式風である。例の画像では一番左に位置している。黄土色をベースにした塗装が12式改を彷彿とさせる。

 もう1つは『VT-1』。例の画像の右から2番目である。こちらの機体はジャンプができず、M16A1やシュトゥルムパンターのような位置づけと思われる。塗装は青が基調ということもあり、そのデザインラインとも相まって、今にもロボットアニメに登場しそうな雰囲気を醸し出す。ガングリフォンとは全く世界観が違う。それにしても『VW-1』と鉄騎の『VT』を足して2で割ったようなネーミングは格好悪いとしか言いようがない。

 具体的な性能に関して言うと、いずれの機体も旋回性能や速力はガングリフォンブレイズの16式と恐らくほぼ同じで、ジャンプの可否以外に差異は見受けられなかった。調整はまだ行われていないのであろう。

キー設定・各機能解説

キー設定

 試遊時のキー設定は以下の通り。

  • キーボード
    • 数字1-4:武装1-4
    • W:前進
    • A:左平行移動
    • S:後退
    • D:右平行移動
    • F:ローラーダッシュ/歩行
    • Z:ステルス機能オン/オフ
    • T:視点変更
    • Space:ジャンプ
    • Shift:ズームイン/アウト
    • Capslock:歩行速度切換(2段階)
  • マウス
    • 移動:照準・(砲塔)旋回
    • 左クリック:射撃
    • ホイール:武装切換?

 機体を移動中にマウスで旋回を試みると、進行方向は変わらぬまま視界のみ左右に振れる。すなわち砲塔(=上半身)旋回である。砲塔旋回は左右90度までで、そこからもっと回そうとすると車体(=下半身)が旋回し、移動方向が変わってしまう。逆に言えば、移動しながらの進路変更は、砲塔をたくさん回すか一時停止するかのいずれかを強いられる。これは非常に不便である。

 気になった点として、ローラーダッシュと歩行の切換をFキーで、また歩行速度の遅速切換をCapslockキーで行うことが挙げられる。これにより自機の移動速度を3段階(4段階?)とし、状況に応じて使い分けるのである。更に特徴的なのはローラーダッシュが無制限に使えないということである。ダッシュ中は画面下にゲージが現れ、それが空になると強制的に歩行移動に切り換わる。尚、ゲージは5秒で使い切り約2秒で回復する。

 ジャンプは基本的にガングリフォンブレイズと変わらず、強制的に前方移動となる。ただし、ブレイズと違いかなり自由な旋回が可能である。ジャンプ中も緑色のゲージが表示されるが、これはダッシュのゲージと共用となっている。これは例えば、ダッシュが不可能になったからすぐに上空退避はできない、ということを意味する。

 ステルス機能を発動すると、自機のターゲットマーカー及びレーダー上の光点敵機から見えなくなるものの、同時に自機もレーダーが使用不能になる。また、機能が使える時間は最大15秒間に制限されている。それ以外の制限は特になく、一体どうやってステルス化するのかMED並に不思議な機能であるが、それはともかくとして、バトルロイヤルではわざわざステルスになる必要には迫られなかった。

 武装は以下の通り。

  • 武装1
    • Cannon:ブレイズのQFGに同じ。最大30発。
    • Howitzer:ブレイズのGUNに同じだが、リロードがやたら長く、使い勝手は良くない。最大25発。
    • Vulcan:QFGとMGの中間といった役回りで、MGよりは強く連射が効く。最大150発。しかしVulcanって固有名詞なんだけどなぁ…。
  • 武装2
    • MG:オーバーヒートもあり、まんまMG。弾数はもちろん無限。
  • 武装3
    • PGM:超高性能ATMで、ジャンプ以外では回避できない。最大7発。
  • 武装4
    • MR20:2発同時に発射するGUNとでも言うか。最大20発なので10回発射できる。MRはマルチライフルの略?
    • MR20:同じく3発同時に発射するGUN。最大30発の10回発射。

 視点はコクピットが2つにビハインドを加えた合計3種類が用意されている。が、率直に言ってどれも特に代わり映えしない。特にコクピット視点2つは殆ど同一で、わざわざ2つ用意する存在意義がよく判らなかった。

ダメージ

 自機が受けたダメージは画面左下のゲージに表示される。部位ダメージ制が採用されており、機体の各部位に一定値以上のダメージが加わることで、一部の機能が使用できなくなる。

 具体的な部位と機能の対応を挙げると、翼:ジャンプ、頭部:レーダー、腕:メイン武装、脚:ローラーダッシュ、となっている。胴体部の損傷による影響は確認できなかった。

グラフィック

 一言で表せば「数年前の洋ゲーのよう」である。ステージにもよるが、全体に単一的でのっぺりしており、表情の貧しい印象を受ける。色合いは原色に近く、ガングリフォンに見られた憂える色遣いの面影はない。特に、砲弾や爆発の演出が妙に派手で安っぽいのは大幅な減点ポイントである。

 フレームレートは、単機で行動している際は60FPS、3機以上の乱戦になると15FPSに落ちたような感じを受けた。

サウンド

 機体の足音・砲の発射音・弾着音などはGGシリーズとまるで同じであったが、ドップラー効果などの特殊効果までは確認しきれなかった。BGMはかかっていなかった。

ステージ

 試遊に用意されていたステージは山岳地帯・市街地・地下基地の3つである。

山岳地帯  山岳地帯。
 ダムあり、川あり、林あり、坂道ありと変化に富み、晴天の昼間ということからやや印象が違うが、実はブレイズのチベットに似ている。林の中での乱戦や高所からの狙撃はなかなか面白い。また、崖の上からのジャンプは爽快感がある。3つの中では最も出来が良かった。

市街地
 市街地。
 市街地といっても色々あるがこれはオフィス街である。広い舗装道路と画一的なオフィスビルが印象的。ジャンプして上れるような高さビルは少なく、同じ市街地でもガングリフォンのキエフとは随分異なる。ビルがかなり狭い間隔で立ち並んでおり、移動の自由度は低いので、CQB(Close Quarter Battle;近接戦闘)のようになる。ステージの外れの方に高架道路があったが、それに上ったからといって特に有利になることはなかった。やや大味であまり面白くないステージ。
 余談であるけれども、日韓の風景は色々と類似点が多くこのステージも日本なのか韓国なのか迷ったが、横断歩道のペイントを見る限り韓国らしい。

 地下基地。
 天井の異様に高い通路と100m四方程度の広場で構成されている。広場では謎の巨大な機械装置がうごめきSFチックである。っていうかアーマード・コア?砲を撃ち合うにはあまりにも遮蔽物が足りず、物凄く大味なステージであった。はっきり言ってつまらない。


雑感・スタッフの話

 対戦中、ラグによるストレスは皆無であったので、LANを介していたと考えられる(当たり前である)。したがって、製品版でどれだけラグが発生するかはまだ判らない。

 スタッフによれば展示中のものはα版とのことで、製品版では様々な改良が加えられると予想される。まぁ正直な感想を述べれば、あの完成度で売れるとは絶対に思えず、頑張って良いものにして頂きたい。

 また、これもスタッフの話であるが、リリースは2004年1月を予定しているという。しかしながら、これを書いている今は既に2004年3月を迎えており、にもかかわらずAccion Onlineの情報を全く見かけないのはどういうわけだろう。まさか発売中止か?

重要な証言

 スタッフと会話していた中で、非常に興味深い証言を得られたので、それを所載する。

 私が口を酸っぱくして「これはガングリフォンじゃないなぁ…」と憤慨していたところ、スタッフは突然こう切り出したのである。

 曰く、
 「Gungriffon DivideとAccion Onlineは別のProductなんですよ。何があったのか知らないが、New Gungriffonの製作チームが2つに分かれ、それぞれがGungriffonとAccionを開発している。Gungriffon DivideとAccion Onlineは別です。」

 Kama Digital Entertainmentは、Accion Onlineとは他にGungriffon Divideを開発しているそうである。これが本当だとするなら、あるいは“正当な”ガングリフォンの後継作品発売という望みも、まだ捨てたものではない…かもしれない。

謝辞

 最後になったが、私の拙い英語を一所懸命理解しようとし、私の数々の愚問にも嫌な顔一つせず回答して下さった、Neowiz PMANGのAccion Online担当スタッフには、心より御礼申し上げる。

Webmaster: Jagaimo

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